平安時代、吉野の桜を愛し、多くの歌を残した西行。
俗世を避け、吉野山の奥千本の小さな庵で3年間を過ごしました。
その庵は西行庵と呼ばれ、春は桜、秋は紅葉の名所として知られています。


世界遺産の金峯(きんぷ)神社から徒歩約15分、西行庵へ向かう途中にある「苔清水」。
西行は「とくとくと 落つも岩間の苔清水 汲みほすまでも なきすみかかな」と歌を残しています。
また、西行を慕いこの場所を訪れた俳人・松尾芭蕉も「露とくとく 試みに浮世 すすがばや」と詠んでいます。


苔清水から5分ほど下ると、西行庵があります。
この季節は、新緑がとても鮮やか。
いにしえの歌人に思いを馳せる、静かなひとときを楽しみました。

西行庵を後にし、帰りは別ルートから。
紀伊山地の山々を一望する大パノラマを楽しみながらのウォークです。


明治時代の廃仏毀釈までは、この辺りにはいくつかの寺院が点在していたそうです。
残念ながら、ここには往時の建物は残っていませんが、金峯山寺蔵王堂には安禅寺(あんぜんじ)のご本尊であった木造の金剛蔵王権現立像が今もまつられています。


ここは、山岳信仰の聖地・山上ヶ岳(大峯山)への登山道でもあります。
「大峯奥駈(おくがけ)道」は、世界遺産にも登録されています。
この日は登山の用意をしていなかったので、散策はここまで。
次回は、もっと先まで行ってみようと思います。

帰りには「花矢倉」に寄りみち。
吉野のまちはもちろん、遠く葛城山系まで見渡せる絶景スポットです。
たくさんの自然に囲まれて、静かな癒しの時間を過ごせる奥千本エリア。
ケーブル吉野山駅から奥千本口(金峯神社の下)までケーブルバスでも行くことができます。
ぜひ、足を延ばしてお出かけください。